人は考える葦。考えた先にあるものとは

読書ハゲ

有名なこのフレーズ。考えたその先にあるものとは?

こんな人に読んでほしい

考えるのが好きな人

考えるのが好きになりたい人

考えるのが嫌いな人

目次

パスカルの見た光景

ブレーズ・パスカル(Blaise Pascal)の次の箴言はだれもが一度は耳にしたことがあるはず。「人間は考える葦である」

人の弱さは思考の強さで補うことができるであろうとの言葉。地球上のあらゆる生物の中で人間ほど思考力をもついきものはないだろうとの前提がそこにはあります。

ではでは。考えた末にあるものは何か? 考える葦である人は、考えることとどのように向き合えばいいのか?

そんなことをこの記事ではかんがえていきます。

『パンセ』からみえること

その昔。『パンセ』は読みました。この記事を書くにあたって、本棚から引っ張り出してきて、流し読みました。そういえばモンテーニュやデカルトの悪口っぽいことを言っていたなぁと、懐かしく思い出しながら読みました。

全体的にはキリスト教の考えに沿う文体のため、僕には理解しがたい表現も多々あります。僕は明確な宗教観を持ち合わせていないので。

一節が短い文から、僕の琴線にふれたことばをいくつかご紹介してきますね。

著作するとき、人が最後に気づくことは、最初に何を置くべきかを知ることである。

出展:『世界文学全集11 モンテーニュ パスカル集』 p.202 昭和45年 筑摩書房

二つの無限、中間。――― 人はあまり早く読むか、あまりゆっくり読むときは、何ごとも理解できない。

出展:『世界文学全集11 モンテーニュ パスカル集』 p.280 昭和45年 筑摩書房

たとい人々が彼らの言うことがらに利害関係をもっていないときでも、そのことから、彼らは嘘を言わないと絶対的に結論してはならない。なぜなら、ただ嘘を言うのが目的で嘘を言う人もあるからである。

出展:『世界文学全集11 モンテーニュ パスカル集』 p.299 昭和45年 筑摩書房

われわれは断崖が見えないように何かで眼をおおい、それから平然としてその中へ飛びこむ。

出展:『世界文学全集11 モンテーニュ パスカル集』 p.316 昭和45年 筑摩書房

人間観察の結果、パスカルが到達した知見が平易な言葉でつづられています。

『パンセ』にはこうした人の性質、傾向、本能的なことにより、どうしようもないほど愚かな選択をしうることについての言葉が多いですね。

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考えることをやめてはいけない

およそ600年前にパスカルが考えていたこと。『パンセ』から僕が思ったことは、当然ながら一致はしないでしょう。一致はしないものの、近いものはある。あるはずとの思いで私見を述べてみますね。

 人はひとりでは生きられない。どうしても他者とのかかわりの中に自分を置き、他者との関係の中で自分の位置を確認しながら生きるほかはない。自分の位置を確認するためには、自己と他者とを比較し、時に優劣を考えなければならない。相手の意図を汲み、相手の考えを模索し、自分との一致点があれば協力し、相違点が多ければ対立する。対立が過剰になれば争いへと、国家間であれば戦争へと発展する。
 つまるところ、『パンセ』においては自分と他者との関係を中心に、キリスト教の教義が相まって人の生き方を問う書物である。パスカルの言いたかったこと。「考えることをやめてはいけない」

現代に生きる者として

パスカルの生きた時代から時は流れて2023年は、パスカル生誕600年。600年前のことを知っている人間は誰一人地球上には存在せず、かろうじて書物から当時のことを慮ることができるだけ。

であれば、当時の書物を丁寧に、真剣に読むことが求められるのが現代に生きる者としての役割。

たしかに、日本人にとってキリスト教に対する知識は欧米人と比して圧倒的に不足しているのは事実。不足しているから、文章の意味も理解しにくく、読み進めることが困難であり苦痛でもある。

ただし。

ときおり、現代人にとっても慧眼となる言葉は存在します。

その言葉と出会うために、『パンセ』にとどまらず、古典を読む意義はあると信じて、読み続けましょう。本を。

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